Q 高校で学ぶ物理学と大学で学ぶ物理学は何が違いますか?

A 物理学は、自然界で起こる様々な現象を数学という言語で一から記述する学問です。高校における物理学では学習時間が限られるため、数学が使用が一部に限られています。また、19世紀までの「古典物理学」の学習に多くの時間が割かれるために、20世紀に入って発展した現代物理学にはほどんど触れません。大学での物理学の主役は量子力学や相対性理論といった現代物理学であり、それらの学問を基礎からしっかり学びます。4年生に進学すると、学生は各々の研究室に配属されます。そこで、これまで学習した物理学を活用して卒業研究論文を仕上げます。

Q 他の大学の物理学科と比べた筑波大学物理学類の特色は何ですか?

A 筑波大学の特徴は、研究組織と教育組織を独立させている点にありあす。物理学類には60名以上の教員が在籍し、学類教育に携わっています。これらの教員の多くは、様々な研究センター(計算科学研究センター、エネルギー物質科学研究センター、宇宙史研究センター、プラズマ研究センター、等)に在籍し、活発な活動を推進しています。こうした研究グループの研究室に配属された卒業件研究生は、卒業研究として最先端の研究に貢献することができます。

Q 授業やカリキュラムの特色は?

A 物理学類のカリキュラムの特徴は、(1)物理学のしっかりとした基礎を築くこと、(2)現代物理学の幅広い知識が得ること、そして、(3)学んだ物理学の知識を応用すること、にあります。1年次から2年次の前半までは、数学と「力学」、「電磁気学」を通じて、物理学の基礎を築きます。2年次から3年次までは、「量子力学」「統計力学」「相対性理論」といった、現代物理学を幅広く学びます。4年次には、卒業研究で各自に研究テーマが与えられ、それまでに学んだ物理学の知識を応用します。

Q 物理学類生の進学率が高いのはなぜですか

A 物理学生の72%(平成27年ー令和元年度平均)は大学院に進学し、さらに深く物理学を学ぶことを選択しています。その理由は、高学年になって改めて物理学の面白さを再発見するためだと思います。物理学類の高学年になると、量子力学、統計力学、相対性理論といった現代物理学に深く触れ、さらに、それらの現代物理学が実験結果を見事に説明していることを目の当たりにします。そうすると、自分の手で物理学を一歩前に進めたいと思うのではないでしょか。

Q いまなぜ物理なのですか?

A 生物学なら生物が研究対象ですし、化学なら化学物質が研究対象です。他方、物理学は、極小の素粒子から極大の宇宙まで全てを知ろうという欲深い学問であり、研究対象は束縛されない学問と言えます。私たちの身近なところに目を移せば、規則正しく原子が配列している結晶の性質だけでなく、原子が不規則に並んでいるガラス、自己増幅を示す生命物質、未来社会を担いエネルギー物質、こうしたものすべてが物理学の研究対象です。ただし、新しい研究対象に取り組むには、先入観にとらわれない柔軟な思考ができる皆さんの力が必要です。