物理学類のカリキュラムは、しっかりした物理学の基礎を築くことを重視するとともに、現代物理学の幅広い知識が得られるよう配慮されています。また、得られた知識に基づいて実際に研究を行う授業もあります。

1年次は、広く一般教養を身につけるとともに、物理学の学習に向けて基礎的な科目を学びます。物理学には2つの相補的な視点があります。ひとつは質点の運動を通して自然を理解する立場、もうひとつは「場」に基づいて自然を理解する立場です。物理学類では、「力学」と「電磁気学」を通じて、それぞれの観点から物理学を学びます。

2年次は、「解析力学」、「専門電磁気学」、「熱物理学」を通じて物理学の基礎をより深く学びます。また、「量子力学」や「特殊相対性理論」など、現在物理学の基礎となる科目を学びます。必修科目である「物理学実験I」で実験データの取り扱いや解析方法を学ぶともに、「計算物理学」や「実験物理学」で実践的な知識・技術を身につけます。

3年次は、より高度な「物理学実験II」を履修するともに、「量子力学」、「統計力学」を通じで現代物理学を学びます。後半からは、「素粒子物理学概論」、「宇宙物理学概論」、「原子核物理学概論」、「物性物理学概論」、「プラズマ物理学概論」、「生物物理学概論」を通じて、専門的な学問を学習するともに、最先端の研究成果に触れます。

4年生は、それぞれの研究室に配属され、「卒業研究」を履修します。物理学類には、素粒子物理、宇宙物理、原子核物理、物性物理、プラズマ物理、生物物理の分野の研究室があります。それぞれの分野には、理論系と実験系の研究室があります。1年間の研究を終えて、卒業論文を提出し、卒業論文発表会に臨みます。

Q 高校で学ぶ物理学と大学で学ぶ物理学は何が違いますか?

A 物理学は、自然界で起こる様々な現象を数学という言語で記述する学問です。高校における物理学では学習時間が限られるため、数学の使用が限られています。また、19世紀までの「古典物理学」の学習に多くの時間が割かれるために、20世紀に入って発展した「現代物理学」にはほとんど触れません。物理学の主役は「量子力学」や「相対性理論」といった現代物理学であり、大学ではそれらの学問を基礎からしっかり学びます。4年生に進学すると、学生はそれぞれの研究室に配属されます。そこで、これまで学習した物理学を活用して、卒業論文を仕上げます。

Q 他の大学の物理学科と比べた筑波大学物理学類の特色は何ですか?

A 筑波大学の物理学類の特徴は、教員の大半が学内の研究センターに所属していることです。物理学類には60名以上の教員が在籍してします。その教員の大半は、計算科学研究センター、エネルギー物質科学研究センター、宇宙史研究センター、プラズマ研究センター、等に在籍し、それぞれの分野で最先端の研究開発を行っています。こうした研究グループの研究室に配属された4年生は、卒業研究として最先端の研究に貢献することができます。

Q 授業やカリキュラムの特色は?

A 物理学類のカリキュラムの特徴は、(1)しっかりとした物理学の基礎を築くこと、(2)現代物理学の幅広い知識を得ること、そして、(3)学んだ物理学の知識を応用すること、にあります。1年次から2年次の前半までは、数学と「力学」、「電磁気学」を通じて、物理学の基礎を築きます。2年次から3年次までは、「量子力学」「統計力学」「特殊相対性理論」といった、現代物理学を幅広く学びます。4年次には、卒業研究で各自に研究テーマが与えられ、それまでに学んだ物理学の知識を応用します。

Q 物理学類生の進学率が高いのはなぜですか?

A 物理学生の72%(平成27年ー令和元年度平均)は大学院に進学し、さらに深く物理学を学ぶことを選択しています。その理由は、高学年になって改めて物理学の面白さを再発見するためだと思います。物理学類では2年次から3年次にかけて、「量子力学」、「統計力学」、「特殊相対性理論」といった現代物理学を学習します。そして、様々な実験結果が現代物理学で見事に説明されることを目の当たりにします。そうすると、自分の手で物理学を一歩前に進めたいと思うのではないでしょか。

Q いまなぜ物理なのですか?

A それは、物理学が研究対象に限定されない学問であるからです。生物学なら生物が研究対象ですし、化学なら化学物質が研究対象です。それに対して、物理学は、極小の素粒子の世界から極大の宇宙の世界まで全てを知ろうという欲深い学問です。私たちの身近なところに目を移せば、規則正しく原子が配列している結晶はもちろん、原子が不規則に並んでいるガラス、自己増幅を示す生命物質、未来社会を担いエネルギー物質、こうしたものすべてが物理学の研究対象です。新しい研究対象に取り組むには、先入観にとらわれない柔軟な思考ができる皆さんの力が必要です。